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「何にしても、えらいこつてしたなあ」
「さあ。どうぞ、どうぞ」
それから、房一は歩きながら漠然とした沈思に落ちた。
遠くの方で誰かが呼んでいた。
向きなほつて云つた正文の声音は穏かではあつたが、その言葉とは不似合な強したゝかな調子があつた。
「何でも大分前からこゝの御隠居にかけ合つていたさうぢやありませんか」
「せんせいですか」
又とぎれた。
「水神淵を知つとんなさるだらう」
小谷は疳高い声で云つた。
真黒い顔の男が傍によつて訊いた。
「もうこんなに暗くなつているのにね、何してるんでせう」