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並んで立つと、いきなり
しばらく黙つていた後で、房一は
「それとも、あれかね。やつぱり日露戦争のときみたいに、船で吉賀の先の浜へ上つてそれからやつて来るんかね」
房一は目顔で笑ひながら何度もうなづいた。やつと安心したやうに、徳次はしばらく見送つていた後で、大股に自分の船の所へもどつて行つた。
「何かね、わしがどうしたといふんかね」
「失礼ですが、もしか、あなたは高間さんではありませんか」
「何しに来た?」
「やつは、わつしの土方家業がえらい嫌ひでしてな」と、彼は云つた。
房一は自転車を降りて押しながら歩いた。しばらく行くと貯水池が見えて来た。あたりは松林で、その抜き立つた幹の間から水面が光つていた。向ふ側は半ば葉を落した雑木山だつた。いたる所が透いて、明あかるく、からりとした空気の中を時々つんと強い山の匂ひがした。
実際、練吉の滑つこい気持よくふくらんだ頬には、その時ちらりとした微笑の影がさしていた。
練吉は盃を口にふくみながら答へた。
「はゝ、知つているな。よし、よし何もいやしない」